その他  県境外廃隧道

 

 

三厩隧道群(青森県)

 

青森県龍飛崎沿岸(現国道339号)に十三洞門といわれる隧道群がある。人が住んでいながら道と呼べるものがなかった

この地に、多数の隧道を含む道路が建設されることになったのは大正12年前後のことである。それまでは波が荒れれば

通行人が浚われてしまうような危険な波打ち際を命がけで通るか、そうでなければ舟で目的地まで行くかのどちらかしか

なかった。そんな地になぜ人が居るのかといえば、それは豊富な水産資源があるからである。漁業利益で潤った村は

その資金をつぎ込んで安全に通行できる道を切ることを決断した。

 

  

すでに役目を終えたものも多い

 

7年の建設期間を経て昭和4年、13の洞門を含む新道は開通した。昭和の時代になろうとしているときに7年

もの歳月を要した工事は、波打ち際の硬い岩にいくつもの隧道を掘り抜く難行であっただろう。犠牲もあったに相違ない。

 

しかし、そうしてつくられた隧道の多くは今、切り通し、新トンネルに役目を譲っている。残っているものもあるが

13といわれた隧道のうち、その姿を確認できるものは残念ながら現在(2004年8月)では半分もない。この残存率

の低さは意外であった。隧道群の成り立ちのいきさつ、著名度から青森県ではここを文化財として

認識しているのではないかと思っていたからである。

 

隧道跡に掲示されたプレート

 

隧道破壊後、その跡の地点にかつての隧道跡であることを示すプレートが取り付けられたところを見ると、現在では

文化財に準ずる扱いのようだが、その判断は少し遅かった。破壊時点前にその意識があれば、

全部とはいわないまでも もういくつかの隧道は保存されていたかも知れない。

 

 

  

2車線に拡幅された隧道

 

 

海蝕洞との親子洞

 

 

 

現役隧道内

 

号数

状態

備考

×

開削

発見できず(現存する)

×

開削

親子隧道

通行可

通行可

×

開削

×

開削

通行可

10

×

開削

11

発見できず(現存する)

12

廃止

13

×

開削

(隧道の号数は南側より順に振られている)

 

この時点で発見できなかったものは、隧道跡プレートが見あたらず場所が特定できなかったため

△にしてあるが、現存するらしくこちらのサイトで紹介されている。参照されたい。

 

 

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