昭和13年以降、釜淵駅から高坂ダムまで、延べ28kmに亘って伸びていた真室川森林鉄道。
軌道自体は昭和37年に廃止されてしまい、鉄路も撤去されて久しいが、使われていた車両は
その後も町立の民俗資料館に動態保存されていた。今回その車両が晴れて日の目を見ること
になり、町内の梅里苑敷地内に約1kmの軌道を敷いてもらって走っている。
体験交流の森の一角に車両の姿がある
民俗資料館の説明板はこちらに移った
敷かれた軌道
木々の間を縫って約1km敷設された鉄路は、車両運行回数が少ないこともあり錆が目立つ。
機関車両はカトウ製ディーゼル 昭和13年から37年まで活動した
レールは軋み、硬く突き上げる乗り心地。快適さを求めて造られた車両ではない。
「森林鉄道そのものの乗車感を味わえる」と言って差し支えないだろう。
大音量の車内アナウンスはちょっと困りものだが、ベニヤで囲まれた疑似トンネル
地点ではヘッドライトも点灯させてくれるし、エンジンを吹かしてパワードライブを
見せてくれることもある。これで1周(約10分)100円というのは安いものだ。
立派な通し番号付き乗車記念切符もくれる。真室川町の意気込みを感じる。
60数年前の車両とはいえ元気に走る
←運行の様子
恐ろしいほどの妖気漂う隧道跡を見たあとでは、この綺麗に塗り替えられた車両がそこを実際
毎日通っていたことは想像し難い。しかしそのギャップを楽しめるのも廃線跡を眼にした者の
特権であろう。普通なら廃線後間もなく廃棄されてしまう車両を動態のまま現在まで保存した
方々の英断と努力に感謝したい。
いつ行っても乗れるわけではないようなので確認を。→こちら