その八 管野隧道1(長井市)

 

 

管野第一隧道1

 

西方から長井市に流れ込む置賜野川に建設されている長井ダムの工事は、県道を遮って行われることから

工事の本格着手に先駆けて平成十一年、車道の付け替え工事が竣功した。この際、三本の新トンネルを掘ると共に、

菅野ダム脇にあった二本の旧隧道が廃止された。

 

  

野川まなび館 平成十四年開館

 

木地山、管野と、すでに二つのダムを持つ川に更に多大な投資をして新ダムを建設する説明として、

長井ダムは多目的ダムとして建設されるということが広報されている。水道水、灌漑用水確保、発電

治水などの目的。その広報のためにわざわざ「まなび館」なる施設まで建設する力の入れようである。

 

  

長井ダム工事の様子

 

ダムの水没予定区域に人家がほとんど無いこともあって、このダムに関しては反対運動も

皆無に近い。昭和四十九年に始まる計画に基づくものであるため、その間の事情にも大きく変化が

あったのではないかと思われるのだが、やはり現在の二つのダムでは容量不足ということなのか。

 

  

旧県道

 

車がすれ違えるような場所も少しはあるものの、大抵は車幅ギリギリしかない道である。

先の見通しが難しい箇所も多く、不用意に進行すれば正面衝突の危険が大きい。

 

 

建設中の長井ダムの若干上流にある管野ダム

 

小規模ではあるが、これでも多目的の管野ダム。発電施設も見える。

そっくり役目を長井ダムに譲り、水没する予定となっている。

 

  

管野ダム堤体の門柱  銘標には昭和29年の竣功が記されている

 

建設後、既に半世紀を経ている堤体。残置すれば障害物になるため、水没に先立って

爆破その他の方法で破壊、撤去されることになるであろう。

 

 

トンネル状の通路

 

管野ダムのすぐ横には車道とは別にトンネル状の人道通路が設置されている。

進入できないようにロープで封鎖されているが、かつては冬期ダム管理道として

使用されていたものではないかと思われる。

 

  

人道トンネルの外観と内部

 

所々に明かり取りの窓が開けられ、戦時中の防空施設跡のようにさえ見える造りである。

 

人道隧道の向こうに現れる管野第1隧道

 

 

 

  

  

数十mに亘るガード

 

 

隧道口は付け替え道の龍神大橋の直下になっており、建設時の落下物を避けるため

厳重にガードされていた。ガードの方が隧道長を超える長さである。

   

橋は隧道の遙か上空を跨ぐ

 

 

 

広い路面を持つ龍神大橋が細く見えるほど旧道と新道の高度差は大きい。

この大きな高度差が、隧道と旧県道が共にダムの水面下に呑まれることを示す証左である。

 

管野第1隧道上流側坑口

 

続:管野第1隧道

 

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