2.旧大谷橋(宮城県大崎市鳴子)
国道47号線が、鳴子峡を形成する大谷川を跨ぐ大谷川橋の南隣に古いコンクリートアーチ橋が残っている。
現道よりかなり低くなっている位置関係のため、国道47号走行中に車窓から確認することは難しいが、付近の
パーキングに車を停め、降り立って少し歩くとすぐ、大規模で優美な橋の姿を眺めることが出来る。
観光客の連絡通路として機能
新規の高欄
現在でも観光客用として現役であるが、現在の安全基準では今までの高欄の高さでは
心許なく、新規に黒い柵が追加してある。転落すれば即死であるため当然であろう。
親柱には昭和8年の竣功であることが示されている
銅板の銘標も古びているが、竣功当時のものであるかは疑問である。親柱の飾り気のない意匠は
これだけの橋に備えられたものとしては役不足であり、同年代の橋の例からしても後年のものである
可能性が強い。戦時中の金属回収を経て銅板の銘標と高欄に仕込まれた鉄材が見逃されて残った
とは考えにくく、事務的な面取りによる四角柱の形状も昭和初期の親柱としてはあまりにも素っ気ない。
また、急激なカーブを描く高欄の部分も昭和初期のコンクリート技術に因るものとは思い難い。
金属製銘標
観光地 鳴子峡
この橋が未だに残されている理由は、この橋の持つ歴史的な価値と言うよりも
先に述べた観光客連絡通路の機能と紅葉時の物見台の機能が考えられる。
この観光用の機能を持つ限り、今後も長期にわたり活用され続けると思われる。
大谷橋 昭和8年竣功
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