寒河江市の幸生〜十部一峠〜大師峠〜大蔵村肘折の国道458号は、冬期はもちろん通れない他、
雪解けが進んでも毎年崩壊箇所の修繕が済まないと開通しないため、ほんの僅かな期間のみ通行できるのだが、
途中幾つもの峠を越えたり、未舗装区間があるなどの難コースとなっている。沿線には補給施設どころか人家さえ無い。
300年以上も前から採掘されていた永松鉱山をはじめとする幾つかの鉱山を繋いだ道が現在に残り、国道に指定されて
いるということになるわけだが、名ばかりの国道で実際は林道のようなものである。しかし歴史があるだけあって、沿道には
坑口跡や坑夫の墓、山神碑などが立ち並び尋常ならざる雰囲気をも醸し出している。
山中の国道
鉱山 坑口跡が点在する
墓跡
坑夫のみならず、女性名のものもあるようであった。坑夫の妻子、あるいは遊女のような立場の人も
この地に多く住んでいたのであろう。永年の豪雪に耐え、立っている墓石も多いが倒伏して草藪に埋もれて
しまったものもまた多数である。子孫はここに先祖の墓石があることさえ知らないであろう。
十部一峠 表示
山神碑
十部一、大師の峠を越え肘折温泉を過ぎると大蔵村の日陰地区に達する。
ここから沼台地区に行くには土合トンネルを通過するのだが、トンネルの横には
急坂があり、以前の道と思われた。トンネル自体は改修を受け、何の面白みも
遺されてはいないが、改修以前は隧道内に木柱を組んで支えとしていたとのことである。
日陰側坑口 坑口左に坂がある
1974年に改修された
壁面には漏水がある
沼台側坑口 見上げると名勝「鼻欠倉」がある
土合トンネル