68.南沢橋

 

 

山形市村木沢地内で南沢川に架かる橋は何本かあり、そのうち2本は

南沢川橋の名を得ているが、この橋は川の字を外した命名になっている。

 

 

見かけはとるに足らない橋

 

 

 

    

造りは凡庸

 

 

昭和といっても30年代以降の造作であろうと思われる形式で、欄干の鉄パイプを含め

風化がほとんど見られない。銘標にしても青銅製と思われる摩滅のない近代的なもの。

 

 

      

昭和三年 の表記

 

 

注目点は竣功年を示すはずの銘標であった。「昭和三年」これが全くオリジナルのもの

であるならば80年を越える年代物ということになるが、それはないであろう。高欄側面の

面の綺麗さからいえば、昭和末期といってもよいほど近年のものである可能性すらある。

 

では、何故昭和三年・・・

 

最も可能性の高い理由は、新橋に架け換えるとき関係者の誰かの判断で旧橋の竣功年

を銘標に表記したというもの。それで通常なら「昭和三年竣功」とすべきところを「竣功」抜きで

表記したのではないだろうか。銘標の長さをを短く安上がりにするために省略したというわけ

ではなかろう。徹底した金属回収のあった戦時期を経てなお、橋にこれだけ金属が残されていた

ということは考えにくく、「新しく見えても本当に昭和三年竣功」という可能性は無に近い。

 

 

「昭和三年」の表記理由は工事に携わった誰かの頭の中にあるのみで、他者には知る由もないままである。

 

 

南沢橋  推定昭和中〜末期竣功(表記は昭和三年)

 

 

 

 

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