山形市村木沢地内で南沢川に架かる橋は何本かあり、そのうち2本は
南沢川橋の名を得ているが、この橋は川の字を外した命名になっている。
見かけはとるに足らない橋
造りは凡庸
昭和といっても30年代以降の造作であろうと思われる形式で、欄干の鉄パイプを含め
風化がほとんど見られない。銘標にしても青銅製と思われる摩滅のない近代的なもの。
昭和三年 の表記
注目点は竣功年を示すはずの銘標であった。「昭和三年」これが全くオリジナルのもの
であるならば80年を越える年代物ということになるが、それはないであろう。高欄側面の
面の綺麗さからいえば、昭和末期といってもよいほど近年のものである可能性すらある。
では、何故昭和三年・・・
最も可能性の高い理由は、新橋に架け換えるとき関係者の誰かの判断で旧橋の竣功年
を銘標に表記したというもの。それで通常なら「昭和三年竣功」とすべきところを「竣功」抜きで
表記したのではないだろうか。銘標の長さをを短く安上がりにするために省略したというわけ
ではなかろう。徹底した金属回収のあった戦時期を経てなお、橋にこれだけ金属が残されていた
ということは考えにくく、「新しく見えても本当に昭和三年竣功」という可能性は無に近い。
「昭和三年」の表記理由は工事に携わった誰かの頭の中にあるのみで、他者には知る由もないままである。
南沢橋 推定昭和中〜末期竣功(表記は昭和三年)
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