88.稲沢橋(寒河江市〜西川町)

 

 

 

寒河江市と西川町の境となる寒河江川に架かる長い古橋。

 

 

 

竣功は昭和9年であるが、それほどの歴史を感じさせないのは

欄干が鉄製ガードレールに変換されてしまっているため。

 

 

  

 

本来の年式を見せているのは橋脚部分である。水流抵抗への対策に角を丸めた

形状のため欠けもなく本来の姿を残している。このときはほぼ水底まで見えていた。

 

 

西川町稲沢と寒河江市宮内をつなぐ

 

 

昭和9年にこの橋が架けられる前、渡河は渡し船であった。季節、天候によっては

渡河不能になることもある川幅であるため、地域の住民の寄付などもあり、建設が急がれた。

その結果昭和の早い時期に安定した行き来が可能になった。架橋は大いに地域の助けになったはずである。

 

 

  

 

大増水を何度も経験している橋脚はかなり頑丈らしく、周囲の建物が流されるほどの大水でも

橋脚に建物の残骸を引っかけたまま耐えたという。

 

 

残念なのは、当時の高欄、親柱が全く残されていなかったこと。親柱の基部の名残はあるが

乱暴に破壊されたのか、かなり崩れている。後付けの鉄柵やガードレールは、ただ用さえ足せば

いいだろうという安手の作りで、橋の規模に見合う風格を感じさせるものではない。

河川名や竣功年の銘標さえ省略されている有様である。

 

  

 

 

この橋のすぐ北に同時代のものと思われる でんきせき橋 が残されており

こちらはコンクリート製の高欄、親柱とも当時の姿を残している。

 

 

  

 

稲沢橋  橋長112.5m 幅員4.5m 昭和9年竣功

 

 

 

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