最近まで米沢市の国道13号万世橋の横に、使われていない橋の姿があった。
これが旧万世橋で、一見平凡な道路橋に過ぎないのだが2代目栗子隧道等が
整備された昭和初期に生まれた貴重な遺構なのであった。
しばらく以前から自動車の通り抜けは出来なかった
昭和12年にこの橋が羽黒川に架かるまでは、明治11年に竣功した木橋が架かっており
名称も吾嬬橋(あづまはし)であった。明治14年に明治天皇がこの道に「万世大路」と
命名したのちも吾嬬橋の名はそのままだったが、昭和の大改修に伴ってこの橋が建設されると
名称も万世橋に変更。現橋もその名を引き継いで現在に至っている。
万世橋の前身 吾嬬橋
昭和12年竣功の旧万世橋
竣功当時には親柱、高欄もしっかり揃っていたがその後の度重なる改修のつど、
オリジナルの姿は失われていった。親柱は全て取り払われて残っておらず、
高欄もガードレールに置き換えられてしまい無味乾燥な姿になり果てた。
ガードレールに取り付けられた味気ない銘標
昭和53年に現万世橋が完成すると、旧橋は歩道橋的な扱いとなり取り壊す資金がなかったのか、
変わり果てながらも文化財としての価値があると思われていたのか、30年以上もそのまま現橋の脇に
残されていた。しかし平成18年、国道13号拡幅事業に伴い旧橋は撤去されることとなった。
旧万世橋 昭和12年(1937)〜平成18年(2006)
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