77.朝日橋/玉石橋(朝日町)

 

 

 

朝日町の白滝−宮宿線と呼ばれる林道を辿り、朝日鉱泉:ナチュラリストの家を

目指して進んでいく途中に、こころもとない歪んだ高欄の細い橋が現れる。

 

橋上を通るぶんには何のことない古びた橋であるが、河床に降りて全体像を見ると

「何故ここにこのようなものが」と思わせられる変わった造りとなっている。

 

 

みどりの中にガードレールが見えるのみ

 

 

橋上から下を覗くと足元すぐのところに玉石が見える。何故ここに石ころが並んでいるのか。

 

 

    

橋上から川面を見る

 

 

 

    

歪んだ高欄

 

高欄を兼ねるガードレールは石碑を載せた石積みに続いている。親柱に相当するものはない。

 

 

親柱はないが石碑があった

 

この石碑には橋の略図と寸法、竣功年など施工についての情報が刻まれていた。

発注が秋田営林局であることも書き込まれているが、欠けや変色があり若干読みにくくなってきている。

それでもこの山中に設えた橋に、石に刻んだ情報板を残すとはただならぬ扱いである。

 

 

竣功は戦前の昭和14年である。

 

 

  

橋に関する情報が刻まれている

 

 

雪の重みで撓んだ鋼管

 

 

制限 6.0t

 

この上流にある木山ダムの建設時には制限を遙かに越える建材を満載した

トラックが行き交うこともあったであろう。

 

  

 

 

橋の下に降りる道はなく、藪の中を縫って下ってゆく。

 

 

  

降りると間もなく見える見事な石積み

 

 

 

長く垂れている鍾乳石

 

はじめは石材による建造かと思われたが、橋の裏を見る限りコンクリートアーチ橋である。

コンクリートの石灰分が溶出して鍾乳石となって幾本も下がっており、その古さを証明している。

 

 

    

下から仰ぎ見る

 

 

 

橋下の奇妙な甌穴

 

橋の下には水流の浸食によるものか、奇妙な形の甌穴がいくつもある。

 

 

  

新緑の中の優雅な姿

 

この橋に用いられている石材は角の丸まった河原石で、構造材ではないことが形からもわかる。

疑問点は、何故誰も目にすることの無いようなこの橋を自重が増え、工事費が増するデメリット

にもかかわらず、このような玉石で装飾したかということである。建造された昭和14年には、車で

ドライブする一般人もなく、この深山を訪れるのは営林関係の人くらいであっただろう。

 

最上部の路盤は厚さ1mちょっと

 

 

  

裏面基部にも玉石が数段並んでいる

 

 

反対側からの眺め

 

 

 

朝日橋(玉石橋) 昭和14年竣功  

 

 

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