その二十一 松尾川橋(山形市)

 

 

県道267(国道13号旧道)の山形市半郷地内に松尾川が流れている。近年、急速な河川改修をうけ、

周辺の様相を大きく変えたが、それまでは流域に昔日の面影を色濃く残す趣深い川であった。

 

ここに架かる松尾川橋は、主要道であったということもあり、欄干、親柱とも傷みが激しく永く補修も

なされなかった。それはそれで周りの風景によく馴染み、悪くはなかったのだが、このたび(2003年)

欄干、親柱が撤去され、単純なコンクリートの縁石に置き換えられた。

 

  

河川表示板

 

 

     

           旧国道13号にあった目立たない橋                      鉄柵が本来の欄干かのようにみえる

 

 

     

しかし 低いながらも欄干は存在した

 

両側の歩道は後年の付け足しと思われるため、竣工当初はこの高さで欄干の役を

していたのであろう。しかしこれでは、ここが橋だということは示せても、渡る人の

転落防止といった安全面にはほとんど効果がない。それでも当時はこのようなことに

とやかく言う必要もないほど交通量は少なく、、歩行者が自動車におびやかされることもなかったのだろう。

 

 

     

コンクリートに吹き付け加工が為されていた跡がある

 

傷んではいるものの、吹きつけの化粧加工が見られる。

竣工当時のものとは思われないが、外観的に改善しようとした時期もあったことが窺われる。 

 

     

いたるところに亀裂が見られた

 

 

    

橋の成沢側に1本のみ親柱が残存していた

 

成沢側(北側)の一本のみがかろうじて残っていたため本来のデザインを知ることができた。

歩道側はコンクリートで塗り込められてしまっていたが、車道側に装飾的な三本の溝があり、

全く飾り気のない橋であったわけではないことがわかる。

 

 

  

 

  

大きく欠けた親柱と そこに刻まれた溝

 

銘標はすでに失われ、取り付け跡を残すのみになっていたが、それは親柱の中央ではなく

外寄りに控えめな形で認められた。なぜ他の橋のように中央に堂々と貼り付けなかったのだろう。

 

 

  

川面からの高さはこの程度

 

 

     

周囲の風景も橋の年齢と同程度

 

同名の橋が現13号線にもあるが、近くに並んでいるわけではなく500mほども離れた下流に位置している。

本橋は廃橋になったわけではないが、親柱、欄干全てが撤去されたことにより、失われた橋に分類した。

 

 

松尾川橋  昭和七年竣工  橋長 12m  幅員 8m  

 

  

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