夕鶴(鶴の恩返し)の物語はあまりにも有名で、「当地こそその言い伝えの地」と名乗りを
挙げている場所が全国に幾つかある。織機(おりはた)川のほとりのこの地もその一つで
川の名のほか、その名も「鶴布山珍蔵寺」(かくふざんちんぞうじ)という古寺もそろっている。
橋上の様子
誰も本当に鶴が布を織って恩返しをしたなどと信じているわけではないのだが、
川の名が織機となり、寺に鶴が織ったと云われる布が収蔵され、近年は「夕鶴の郷」
という展示資料館まで出来た。人々の願いが「はなし」を「かたち」にしていった例だと思う。
高欄頂部は丸みが付いている
羽を広げた鶴にも見える高欄に描かれた弧
「鶴布山珍蔵寺」とは最近命名された観光目当ての寺名に思えてしまうが、創建500年を
超える名刹である。伝説に由来する創建であるのは事実のようだが、「観光」などという概念の
無かった頃の命名であり、決して集客を狙ったものというわけではないようだ。
平仮名の橋名と河川名の銘標
銘標は4枚とも現存している。陶板のわりには汚れは多い方だ。
親柱頭頂部にはドーム状の装飾が付いていたようだが、破損してしまったものもある。
また、冬期には融雪道路として放水もあるため水道管の鉄分により銘標が赤茶けている。
2000年に橋の袂でコンクリート工事が行われた際には遠慮なくロープが親柱に
結ばれるなどしていた。生活橋の扱いであり、文化財などとしての見方は無いようだ。
竣功年と橋名の銘標
織機橋 南陽−白鷹線 昭和5年竣功 橋長12m 幅5m
topに戻る) (橋梁topに戻る) (現役橋topへ) (前ページに戻る) (次ページへ)